上海 B級グルメ・レポート〜 その3 〜


8.新疆料理とウィグル街 
  
 またまた今回も「清真」(イスラム)料理からお話しが始まります。
 我々が特別にイスラム料理のファンと言う訳ではないのですが、気軽にイスラム料理を食べることが出来るのも上海の魅力の一つと言えるでしょう
 
 「その1」でご紹介した「過橋米線」のお店の丁度裏側に、左の写真のお店『新疆風味餐庁』があります。

 
 新疆の麺といえば何といっても新疆拌麺が挙げられます。
 レポート「その1」で紹介した蘭州拉麺と同じような作り方の手打ち麺ですが、少し太く、堅めです。ゆであげた麺に、羊肉と赤、青ピーマン、トマトを炒め合わせたものをのせてあります。

 私も大好きな一品ですが、三脚猫さんは20年前に新疆のウルムチからカシュガルまで四日がかりでバス旅行した際、食事といえば全てこの麺、あとは羊肉串(シシカバブ)にビールがおきまりだったそうです。
 さすがに3〜4日これが続くと「ぞっ〜」とするかもしれませんが・・・。
 
 上で「我々が特別にイスラム料理のファンと言う訳ではない・・・」と書きましたが、実は毎回中国に来る度に食べたくなる料理があります。
 それが左の写真、大盤鶏です。
 鶏肉のぶつ切りを唐辛子をはじめさまざまなスパイスが沢山入ったトマトスープで炒め煮したもので、じゃがいも、赤・青ピーマンがふんだんに入っています。インドのカレーの親戚というところでしょうか。

 唐辛子が強烈なために食べ過ぎると必ず胃腸がやられる“危険”な食べ物ですが、鶏好きなわたしにとってはやめることの出来ないメニューです。

 数年前に訪ねた店は、唐辛子がざっと百本も入っていようかという強烈なもの(そのお店は既に閉店)でしたが、今回訪ねたお店はかなり大人しい味わいで、少し物足りないくらいです。
 でも程よい辛さで、ビールも美味しく、我々日本人にとってはこれぐらいが丁度いいのかもしれません。

 3年前にカシュガルからやってきたという、人懐っこい店員のお兄ちゃんがご愛嬌のお店でした。

 さて、上の店を一歩でると右のような羊肉串を焼いている店があります。
 一本2元。おやつには丁度良いかもしれません。

 ちなみにこの周辺はかつて清末創建のイスラム寺院やイスラム墓地があったとかで、今もウィグル人街の様相をていしており、勿論新疆料理や清真料理の店があっちこっちにあります。

 上の写真と同じお店ですが、向って左の片方では窯のなかに小麦粉を丸めた団子をペタペタと貼り付けています。
 すると左の写真のようなナンが焼きあがってくる訳です。
 
 上の羊肉串にせよこのナンにせよ、丁度昼食時だったこともあって、ウィグル族は勿論、漢族の人たちも沢山買い求めにやってきていました。

 こちらは清真料理のお店です。
 お店はウィグル族ではなく回族がやっている店でした。
 
 悪口を言う訳ではないのですが、回族は、ウィグル人に比べると愛想も悪く商売気がありませんね。ウイグルは古くから商業民族として栄えた民族ですから、やはり今もその血を引いているのかも知れません。かつて外貨兌換券と呼ばれる、外国人専用の貨幣が使われていた頃、上海では、闇の両替屋さんといえば、まずウイグル人でした。

 奥には見え難いですが「土耳其焼kao(火+考)」=トルコ焼肉とかいてあります。
 羊の腿肉でしょうか、串につきさして真横からあぶり焼き、それを焼けた部分からこそげ落として香料とオニオン・スライスとあえて手前のパンにはさむ、さしずめ羊バーガーといったところでしょうか。手軽なこともあって、よく売れていました。

 周りには羊の肉の油が飛び散り煙と熱気で、右下隅、手前で覗き込んでいたT君もご覧のように顔をしかめてしまっております。

 ちょっとグロテスクで恐縮ですが、この周辺は当然羊肉を扱う店ばかりで、店先に処理済のお肉(ここでは残骸のあばら骨)があちらこちらに放り出されていました。いずれスープになるのでしょう。“とんこつ”スープならぬ“やんこつ”スープです。北中国の人は、上海あたりの人に比べ、体格ががっしりしていて、骨太なのですが、小さい頃から、カルシウムたっぷりの羊スープを飲むからだ、などと言われています。
 ちなみに右の写真の骨は何故か“タバコ屋さん”の店先に放り出されていました。

 この“ウィグル街”付近は左の写真のように古い上海の街並みを色濃く残していますが、その奥に見える南京路付近では相変わらず再開発が進んおり、ここから望むと近代と現代が渾然一体と交錯する雰囲気です。
 
 このような古い町並みはいつまで残っていてくれるのでしょうか。



9.白斬鶏  
  
 これまで数々の料理をご紹介した訳ですが、最後はあっさり白斬鶏です。

 これについては皆さんお食べになられた方も多いと思いますが、鶏を程よく茹でて、醤油ベースのタレでいただくものです。茹で方が味を決めるらしく、肉は完全に火が通っているものの、切った時に、骨髄から血が流れ出る程度のものが良いとされます。
 ちなみにこの白斬鶏という料理は、白切鶏とも呼ばれ、上海でなくとも各地で好まれるものなのですが、上海のものは、浦東の三黄鶏という地鶏を、上で述べたような絶妙な茹で加減で茹でるため、肉質が柔らかい上に、さっくりとした歯ざわりがあり、美味しいものは、本当に忘れがたい味わいがします。

 有名なのは何といっても雲南路にある『小紹興』です。
 『小紹興』の主人夫婦が最初雲南路にそれこそ小さい小さい小屋のような店から商売を始めて、評判が評判を呼んで、店を段々大きくして今や立志伝中の人として本にも書かれるくらいです。

 鶏肉大好きの私は、上海に行くたびに『小紹興』でその味わっておったのですが、人気に胡坐をかいてしまったせいか、年毎にその味が落ちてしまい、この数年は『小紹興』を訪ねるのを辞めておりました。

 三脚猫さんも何とか美味しい白斬鶏を探し出そうと、あっちこっちの店を食べ歩いた結果「その1」の最後でご紹介した『阿大碗麺館』のものがけっこういけると、何度か食べていたのですが、どうもここもかなり味が落ちてしまったようです。
 どうも鶏インフルエンザの流行後、しっかり茹でるようになったのが原因ではないか、というのが三脚猫さんの意見です。

 写真は『阿大碗麺館』のものですが、確かに油が多く、全体がベチャッとしていました。

 誰か美味しい白斬鶏お店をご存知でしたらお教えくださいませんでしょうか。
(最新情報では、あちこちにある振鼎鶏というお店が、結構いけるとのことです。)

10.宿題〜C級グルメへの路

 のように約10日間に渡り、毎朝豫園周辺の店を食べ歩いて早朝から腹一杯にさせた我々は、食後は周辺をぶらつくということを日課にしておりました。
 で、私が帰国する前日のこと、いつもとは違った通りに行ってみようと、ぶらついていると、狭い通りに人がごったがえし、両脇には屋台店さながらという小さな店が立ちならぶ一角に行き当たりました。

 これまででも相当庶民的な味を楽しんできたと自覚しておったのですが、この通りはより一層庶民的な味わいを残していそうな予感がするところでした。
 例えるなら、これまでは「平均5元」の世界ならば、ここはさしずめ「平均2元」の世界でした。




  右の写真は山東雑糧餅というものです。
 おかみさんがクレープを焼いて辛みそを塗ったりし、旦那と思われるおっさんが卵を割ったり葱、香菜をばら撒いたりして“二人三脚”で作っていきます。
 ちなみに「卵ダブル」「辛みそ」有り無し等バリエーションがあるようでした。
 
 この食べ物は、結構ファンがいるらしく、広州でこれにはまった話が、「おのっぺ」さんという方の作るプログ(こちら)に出ています。
 価格は2元。けっこうな量で朝ごはんにはもってこいです。

 このお店の他、あきらかに「C級グルメ」と思われるお店があっちこっちに点在し、何故この通りのことに早く気がつかなかったのかと後悔しましたが、これは是非次回への宿題にしようということになりました。
 
 食べ物屋さんの他にも、周辺には右のように生きた鶏(赤鶏、烏骨鶏、鳩)や、魚、今が旬の筍を扱う露天などがひしめき合っております。

 建物と言い、扱うものと言い、その匂いと言い、庶民の生活を体現するような雰囲気が満ち満ちた街でしたが、この周辺もご多分に漏れず再開発がすすんでおります。
 先にも書きましたが、いつまでもある姿とは思えません。

 なんとか再開発が行われる前に宿題を“提出”したいと思っておりますので何時になるかは判りませんが、次回をお楽しみにしていて下さいませ。

 B級グルメレポはひとまずこれにて終了。因みに舞台となったのは、
  豫園の南側、上海老街と呼ばれる観光スポットを中心にした、方浜中路界隈
  上海書城のすぐ東南、広東路、海口路、浙江路に囲まれるように古い建物が残る一帯
です。

 次回は江南水郷の名鎮・烏鎮の美しい街並みと皮影戯のレポートです。


(上海 B級グルメ・レポート 終了 2005.4.28)

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